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2024年のAV業界を振り返る

2024年、AV村最後の良心とでもいうべきAV人権倫理機構の突然の解散によって、AV業という因果な稼業には「人権倫理の底なしの深淵」がいまだ大きく口を開けていることが再認識された。


不祥事で自前サイトが破滅し、FANZAの手数料とAV新法対応で窮地に陥ったSODは、活路を見出すためにAV新法改正を画策しロビー活動に傾倒していく。この活動は国民・維新の改正案の国会提出に結実したが結局与党には黙殺された。2024年のAV村について振り返っていこう。

目次

「AV人権倫理機構解散」の衝撃

業界団体の改革を打ち出し、一定の成果を挙げたAV人権倫理機構であったが、AV出演被害防止・救済法成立以降、存在意義を問われていた。急速な業界団体再編の主導権を握ることなく翻弄されることを拒否して解散、自称「第三者機関」も「適正AV」も消滅したのだった。

2017年10月の発足以来、AV業界の自主規制をリードしてきたAV人権倫理機構。完全とは言えないながらも、5年ルールによるV削除の慣習を定着させるとともに、総出演料開示ルールを制定したり統一出演契約書を整えるなど、野放しだったAV業界の近代化に貢献したことは間違いない。

しかしながら、2024年、「AV人権倫理機構は3月末をもって解散」という衝撃的なニュースが駆け巡った。ではなぜAV村の人権倫理の最後の砦が解散に至ったのか。

一つには、AV業界のプレイヤーであるメーカー・プロダクション・審査団体が「適正映像事業者連合会(CCBU)」の設立に動き出したことが挙げられる。

2022年6月のAV新法の成立によって、業界人からは、さまざまな自主規制を導入したにもかかわらず、法規制阻止の役に立たなかったAV人権倫理機構の「存在意義」に重大な疑義が呈されたと思われる。

AV業界団体の大きな組織改変の中で、AV人権倫理機構がAV業界全体を「綿密」にコントロールできなくなることを恐れたと代表理事・志田陽子は語っている。

https://avjinken.jp/dl/topics/top_aisatsu.pdf

正直、志田の説明は釈然としない部分もある。業界団体がどのような体制になろうとも、第三者機関として提言し続けるという方向性は模索されなかったのだろうか。舞台裏ではさまざまなやり取りがあったと予想されるが、志田にとっては、2023年11月に理事・河合幹雄が逝去するなど精神的支柱が失われたことも大きかったのではないだろうか。

同格の理事としてAV業界に人権倫理を行き届かせるべく機能すべき山口貴士は23年10月、月島さくらを引用して「フェミニストを揶揄して炎上したAV」を「こーいう戦い方はAV業界らしくて良い」などと絶賛する有様で、もはや論外なのであった。

こーいう戦い方はAV業界らしくて良い。 https://t.co/N6RqEpBvpa— 山口貴士 aka無駄に感じが悪いヤマベン (@otakulawyer) October 11, 2023

追記:リンク先の月島さくらのアカウントが凍結されたため、別途滝沢ガレソのポストで問題作を確認してほしい。

AV人権倫理機構は、解散に伴い「適正AV」というワードの使用を9月30日までとし、それ以降の使用を禁止した。2024年8月、IPPAは「適正映像事業者連合会」(略称:CCBU)に改称。24年12月、CCBUは「適正AV」の後継として「CCAV」というワードを打ち出したが、こちらはあまり定着していない。

「適正AV」という幻影はいとも簡単に崩れ去った。空虚なスローガンをことさらに掲げ、メディアに露出してはダクションの代弁者として活動していた天使もえのような御用女優は何を思うのか。

SOD「AV産業の適正化を考える会」によるAV新法改正運動

AV業界が崩壊する、と危険を煽る二村たち。しかし崩壊するのは自前サイトが壊滅的なSODだけではないか?WILLとプレステージは特段活動には参加していない。そもそもこの会の結成目的では、「搾取」を取り上げており、反FANZA活動であることは明らかなのだ。WILLを敵に回しては運動の広がりは期待できないのではないか。出発点から矛盾を含むSODの策動については、「ほしのあすかさん、瀧本梨絵さんに謝罪して廃業せよ!」という感想しかないのであった。

2021年に致命的な顧客情報漏洩の不祥事を起こしたSOD。その影響を受け、自前サイト「SOD Prime」は2023年12月18日をもって通販および単品動画販売・レンタルストリーミングサービスの新規購入を終了し、SODは事実上EC・配信サイトから撤退した(SOD Primeは謎の見放題サイトとして継続してはいる)。

SODは業界一強の配信サイトFANZAに手数料を70%も分取られているとされる。2022年のAV新法による各種制作規制が追い討ちをかける中、じり貧に陥ったSODは、2016年の第一期AVAN(SOD取締役・溜池ゴローの妻、川奈まり子が代表。2018年3月に解散したのち、2019年6月にIPPAの外局となる第二期AVANとして再編成される)設立でも見られた、政治活動へと逃避していく。

その焦点となったのは2022年6月成立「AV出演被害防止・救済法」の2年後の見直し附則である。見直し時期に合わせ、SODは策動を開始した。

2024年1月、AV監督・二村ヒトシ、まりかを発起人とした「AV産業の適正化を考える会」が発足した。ネーミングはAV業界全体を代表するような感じだが、単なるSODの団体である。AVライターもちづき千代子によると、2月9日の渋谷での初の署名活動では、露骨にもSODクリエイト社員が駆り出されていた。

では二村・SODのAV新法改正の目的とは何なのだろうか。記事では以下のように書かれている。

目的はあくまでも「AV業界を良くする」、この一点を達成すること。そのためにも、「法律『AV出演被害防止・救済法』の名称・目的の改正」「熟慮期間の柔軟化」「出演者の地位向上、人権保護のための業界の実態調査の実施」の3つの改定案を提唱し、同会は署名活動を行っていく

結局法律の名前が気に入らないとか、熟慮期間を短くしろだとか、「搾取」の実態(=FANZAの手数料問題?)を国が調査しろだとか、SODの手前勝手というほかない。

SODニューゲート違約金2460万円訴訟や、SODによるほしのあすかさんや瀧本梨絵さんなどへの継続的・組織的な性暴力・AV加害の総括は一切行わずに、規制を緩めろと政治的ロビーイング活動に邁進していくSODにはなんら大義を感じないのであった。

2月20日には二村進行で、都内でシンポジウムを開催。NHK党浜田聡参議院議員らが登壇した。

2月23日に二村、SOD株主・テリー伊藤、SODクリエイト・野本義明社長らがAV女優を含むAV業界人100名と共に有楽町でデモを決行。

3月8日には、日比谷公園から国会議事堂まで今度も板垣あずさや範田紗々などのSOD系のAV女優を含む100名以上を引き連れてデモ行進を行い、身内の浜田聡議員に請願書を提出。

3月16日には、新宿・渋谷で村西とおるがマイクを握り街頭活動を行った。

4月4日に都内で第2回AV産業の適正化を考える会シンポジウムが行われ、野党4党の議員が参加。SOD専属・星乃莉子も登壇するなど、露骨なロビー活動は続いた。今思うと、SODの如き非道AV業者の口車に野党4党が乗せられていたという事実には背筋がさむくなる。

こうしたSODのロビー活動に対し、FANZA=WILLやMGS=プレステージ系のAV業界人・専属女優は協力しなかった。彼らは自前サイトが順調で「搾取」の影響は特段なく経営体力があり、AV新法にも既に適応していたこともあって、独り負けのSODの狂騒を静観したのではないか。

6月14日、国民民主党・日本維新の会が共同でAV新法改正案を国会に提出した。

その改正案を今改めて確認したのだが、上記の二村の主張が丸呑みで閉口した。改正案の内容について私の方で確認してみた結果が以下の囲いである。

20歳以上かつAV出演経験者には規制を緩和し、複数AVの契約を一括してOKとし、日時・場所・共演者も「見込み」でOK。現行では契約から撮影まで1ヶ月、撮影から公表まで4ヶ月の熟慮期間を設ける必要があるが、それも1週間に短縮する。

法律の名称も、「性行為映像制作物に係る出演契約等に関する特則 等に関する法律」とし、「被害」の文言を削り取る。

「政府に対する実態調査の義務付け」(出演者の経済的搾取等への対応)の規定を設ける。

繰り返しの感想にはなるが、とにかくSODの都合というほかない。当日現場に行って初めて詳細がわかる勝手きままな撮影が横行していたから、厳格な契約と1ヶ月ルールを設けているのである。デビュー作だけ真面目にやりますよ!という話ではない。SODには重大な人権侵害に関わるAV撮影に対する真摯な姿勢はないのか。

また、「被害」の文言がイメージ的に嫌だからを削りましょう、というのもおかしい。SODがこれまで散々行ってきた非道で大勢のAV被害女性が苦しんでいる。SODは、ニューゲート被害女性、ほしのあすかさん、瀧本梨絵さん、香坂きのさん、松本佳世さんらに誠意ある謝罪と償いをし、再発防止策を提示するならともかく、御用女優動員してデモ行進しているのだから話にならない。

そもそもマジックミラー号に(仕込み女優ではなく)本物の素人女性を連れてこいと顔面が内出血で変色するまでADを殴りつけてAV強要を強要し、「AV女優はレイプして捨てろ」と豪語していた高橋がなりは恥もなく本運動に参加しているが、一体全体何考えてるんだ?自分の総括をしてほしい。

また、経済的搾取に関する実態調査が云々というが、ダクションの搾取の実態調査はあってもいいとは思うが、最近は折半なんだろ?とは思っているので、結局FANZA調査をしてFANZAの手数料を下げたいだけなのでは?と疑念を抱いてしまう。

伊藤先生は以下のように発言している。正論である。

被害者保護に逆行する内容であり、このような改悪案に強く反対します。
被害にあっている人は少数だから軽視して良い、業界の論理が優先という発想は、実態に反し、人権の観点からも容認できません。
維新・国民・教育、AV新法改正案を提出 契約規制緩和 – 日本経済新聞 https://t.co/ueSjhLKUWG— Kazuko Ito 伊藤和子 「ビジネスと人権ー人を大切にしない社会を変える」(岩波新書) (@KazukoIto_Law) June 14, 2024

さて、このSOD改正案について、与党が黙殺したことだけは救いであった。

だが、油断はできない。実は2025年になってAV業界全体の団体・CCBUは「搾取調査」を除き似たようなAV規制緩和要請を内閣府に提出している。こちらはFANZAも乗ってくると思うので要警戒だ。

三上悠亜、CA4LAコラボで炎上

三上悠亜は直近でも仮想通貨MIKAMIの広告塔として活動し、多額の損害を出した保有者から批判されるなど、
さまざまな騒動を起こしている。

三上悠亜と帽子メーカーCA4LAのコラボが激しく批判されたのが昨年2024年である。今回初めてのコラボではないようで、なぜ今炎上?という疑問もあるようだが、やはり人権倫理意識の向上によって猥褻という違法性に関わるAV業者がカタギとしてCMに出ることに違和感を感じる人がいるのも無理はないのではないだろうか。

なお、私は三上の事務所のトップ・青木亮が起こしたほしのあすかさんや香西咲さんへのAV強要の非道を許していないため、三上もその一味として容認できない、ということを申し添えておく。

終わりに

2024年はAV人権倫理機構の解散と共にAV新法の骨抜き改正を目指すSODの策動など、法規制で一旦大人しくなったAV村が再び増長に向かう兆しが見られた。AV規制緩和の阻止と、AV禁止法の制定に向け、我々は2025年を突き進むのである。

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この記事を書いた人

ブログ「KMノート」管理人。
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