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2014年のAV業界を振り返る

2014年、AV男優・森林原人が「日本AV男優協会」結成をぶち上げる。しかしながら、これをよく思わない業界人の反発は強かった。逆風の中、あろうことかAV男優協会理事・沢井亮が児童淫行で逮捕される。この不祥事に対し、AV男優協会は説明責任を果たすどころか、サイレントで協会サイトから沢井の存在を消去したのである。

さらにはしみけん・志戸らAV男優たちはTwitterで沢井を公然と擁護する。釈放された沢井はロック座女優に対しさらなる不祥事を起こしたとされる。これらの妄動に松本和彦・松嶋クロスは激怒、沢井への暴力による制裁の上、AV男優協会は解散させられた。

AV男優たちが右往左往していた頃、AV被害を訴えたのが香西咲さんである。香西はアットハニーズ青木亮による枕営業を告発していく。香西咲が開いた戦端はやがて巨大な戦線となってAV出演強要問題へと広がっていった。

一方でVIP専属・佐藤るりこと鈴木涼美は「AV女優の社会学」を上梓し、文春砲によってAV女優と報じられる。のちに作家として大成する涼美の出発点となった身バレはどういう経緯で起きたのか?2014年のAV業界を振り返る。

目次

日本AV男優協会の成立

森林原人が発起人として結成された日本男優協会は、結成4月の段階で加入NGや顔出しNGの男優が多数発生し、一枚岩でない男優界隈の殺伐とした様子が浮き彫りとなった。さらに4月7日、理事であった沢井亮が児童淫行で逮捕されると沢井の名前をサイトから消去。協会は何ら説明責任も果たさないかったばかりか、所属有名男優がひたすら沢井を擁護するなど批判を集めた。

1月末、珍妙なニュースが飛び込んできた。AV男優たちが徒党を組み、業界団体を結成するというのである。呼びかけ人は森林原人。最難関私立・筑波大附属駒場中学に入学しながらもおちこぼれ、1浪して専修大入学の屈辱の果てに捨て鉢となり、AV界入りした「堕ちた神童」である。性病検査を呼びかけ、安全な撮影現場を実現する?なる趣旨を掲げていたが、その実は圧力団体としてギャラを上げる交渉をしたり、トラブルの際にW松やプロダクションの男衆のような私刑部隊の暴力に団結して対抗しようとする意図は歴然であった。

しかしながら全「印紙男優」の団結を掲げた日本AV男優協会だが、予定の4月1日にサイト開設をできず延期。4月7日になりサイト公開した。その際の会員リストをアップする。(https://archive.is/ddTz8

ここで押さえておきたいのは、沢井亮が協会員として発足時には存在していたことである(赤丸)。

なお、参加していない有名男優として、貞松、戸川、玉木、奥村、鈴木一徹、花岡じった等が挙げられる。もちろん志戸は含まれていない。このように、最初の段階からAV男優たちは一枚岩で団結できていたわけではなかった。

しかしながら、日本AV男優協会にとっては最もタイミングの悪い、まさに同日の4月7日、世間を震撼させる恐るべき報道がなされたのである。

沢井亮の児童淫行による逮捕と日本AV男優協会の隠蔽工作

児童淫交で逮捕された沢井亮。その後沢井は立て続けに不祥事を起こし、AV男優業を追放される。

4月7日、児童淫交で沢井亮が逮捕された。報道によると、中学三年生の女子生徒に性的行為をはたらいたというのである。

宇都宮東署が7日、埼玉県青少年健全育成条例違反(淫行)の疑いで、俳優の沢井亮容疑者(34)を逮捕したと、スポーツニッポンなどが報じた。報道によると同容疑者は2月、18歳未満と知りながら、LINEで知り合った当時中学3年生の女子生徒に、ホテルでみだらな行為をした

この報道を受けて、沢井亮が理事となっていた日本AV男優協会によるしっかりとした説明があるものと期待したのだが、驚くべきことに協会はひっそりと沢井の情報をサイトから削除し、もともといないように偽装した。

差し替えられたサイトのキャプチャ。沢井亮の名前が削除されている。日本AV男優協会は沢井亮の犯罪行為について説明することはなく、むしろ協会員はSNSで沢井擁護に回るなど、AV業界人とカタギとの乖離が改めて明らかになった。

沢井の名前が綺麗に消えていることがわかる。日本AV男優協会から、会員である沢井の起こした事件について誠意ある説明と謝罪がされることはなかった。

余談ながら、「沢井の名前のサイトからの削除」というニッチな話を報じたのは「AVメモ」のみであったが、松本和彦と側近・荒井禎雄はしっかりと監視しておりのちに記事でAV男優協会を批判していたのである。

沢井の非道を批判するどころか、AV男優協会には関係ないとした協会員たちは、驚くべきことにSNSで沢井擁護に乗り出していった。

たとえば清水は「沢井亮は30年に一人の逸材。あいつにしか『出来ないこと』が沢山あるんです。復帰して欲しいです。」と主張し早くも復帰させたいと主張。

撮影現場でどれだけ沢井が「良」い「キャラ」をしていようが、被害女子生徒もいる中で沢井擁護の果てに復帰を語るのは早すぎるのではないか。性犯罪を軽視し、なんなら勲章とまで捉えるような性業界の人間のいびつさが改めて浮き彫りになったのである。

この清水の発言について、AV業界の重鎮であり私刑でAV業界を統制してきた松本和彦は批判ツイートを投稿した。

松本は沢井を「庇う」AV業界人と世間との乖離を危惧したのである。松本和彦は自身の逮捕歴からも、世間からAV業界が厳しい目で見られていることを理解していた。色眼鏡で見られていることへの自覚のない清水を、同業者として激しく批判したのである。

さらに松本は審査団体理事としてDMM=CA(北都)内でも企業コンプライアンスを話題にしているとツイート。

「AV村」という言葉はAV出演強要問題以降、AV業界の前近代性・閉鎖性から盛んに使われる言葉となったが、その「AV村」という言葉利用の元祖とでもいうべき松本は、(1) AV村民のツイッター・ブログでの発言によって村が可視化されていき、(2) AV業界人が、ポジティブキャンペーンの流布の中でAV業界という「特殊な村」の一員であることを忘れ、立派な「カタギ」であると勘違いしていく現象について「町化」してると表現し、一連の沢井擁護騒動を「弊害」だと位置づけたのである。

私のブログ「AVメモ」でもこうしたAV業界人の騒動をウオッチし批判的な記事の投稿を続けていたのだが、私の元にも業界人から恨み節のような@ツイートが送られてきていた。その中でも黒田は4月12日にコダマイトという有名キモメン男優と私に向けてこのようなツイートを発信した。

AV男優 黒田悠斗@kuro_avd

男優協会の事を根本的な部分から誤解してる人がいます

男優協会は少しでも業界から性病が減ればいいなという思いで作られた団体であり、
ギャラ交渉や圧力をかけるために作ったものではありません

業界の益に繋がればと考えて動いた訳です

性病が無い環境の方が女優男優ともに働きやすいはず

2014/04/12 15:03:28

AV男優 黒田悠斗@kuro_avd

@WindowsHAmita @codamite
この方だけの話ではないのです

間違った情報をでっち上げて、さも本当の話のように書き立て『AV業界に物申す』みたいな立ち居地で妄言を吐きまくってる人間がいるんです

ピントがズレた話ばかり垂れ流してる人…顔が見えないのをいい事に

2014/04/12 15:18:03

性病予防という建前のもと、ギャラ向上とトラブル時の互助のため、制作会社やダクション、W松らを念頭に徒党を組んで組合結成を画策していた彼らにとって、沢井の事件を報じる我々はさぞ邪魔に映ったことだろう。

こうした情報戦の中で、協会員にも動揺が広がっていく。協会男優53人のうち、プロフィール公開で顔出ししたのはわずか32名であった(下表)。今更顔を隠しても意味のなさそうな有名男優・トニー大木、小田切、南、毛豚、阿川らも顔出しNGにしたのである。逮捕上等のはずのAV男優であっても流石にこの情勢で顔出しは控えたのだ。

男優名顔出し備考
1森林原人森康二郎
2佐川銀次
3浅野あたる
4太陽拳
5沢井亮(?)NG4/7にこっそりと削除
6ゴロー鳴沢賢一
7イセドン内村池田
8藍井優太NG
9阿川陽志4/16にNG
10上村経大NG
11一条正都
12イエイ高嶋
13今岡爽紫郎
14梅田吉雄
15大沢真司中沢
16大島丈小嶋実
17小田切ジュンNG尾上真一 
18およよ中野4/16にNG
19片山邦生
20金田たかおNG(目線)
21ガーター井口NG
22黒澤透
23黒田悠斗黒田将稔
24真田京
25しみけん清水健
26桜井ちんたろう
27ジャンボ廣田NG
28志良玉弾吾
29 杉浦ボッ樹
30滝乃まさおNG
31田淵正浩
32天河NG
33トニー大木NG(目線)
34トミタNG
35中田真NG柳井(通称毛豚)
36西島雄介NG
37野島誠
38畑中哲也
39羽田貴史NG
40早坂人生
41ピエール剣
42日比野達郎
43平井シンジ
44ぽこっしーNG池田径
45真琴
46南佳也NG
47望月輝
48森山龍二
49横山一光
50吉野篤史NG
51吉村卓
52カルロスNG
53ジョニー岡本NG

4月17日に沢井は略式起訴され、罰金30万円が言い渡された。弁護士費用は67万円かかったという。釈放された沢井は下記ツイートをした。

沢井亮@ryo32design
今やっと出れました。皆様ご迷惑おかけしました。してしまった罪を反省し生活を改め、新しい門出を日々精進邁進してまっとうに生きます。今後とも宜しくお願い致しますm(__)m


2014年04月17日12:41 

沢井の釈放後ツイート。

有罪だった沢井に対し、松本の諫言は届かず、AV業界人から「釈放おめでとう」のツイートが連打されていく。

ぽこっしー@脱チャラ@poko_av

@ryo32design おかえり(^o^)/おつとめご苦労様ですwwシャバの空気はうまいかい?^^2014/04/17 12:59:12

奥村友真 YUMA OKUMURA@yumaokumura

@ryo32design
お帰り。^_^10日間だ。最短だね。
お疲れ様。^_^2014/04/17 12:46:03

AV男爵しみけん @avshimiken

@ryo32design 留置所は石鹸しか支給されないから、髪質死んでるな!!(  ̄▽ ̄) 反省もあるし、良い機会だから坊主だな(  ̄▽ ̄)笑 おらぁ、留置所でカラコンしてるヤシは始めてみたぜ! 「用便、願います!」 シャバのケツ拭く紙は柔らかいぞ~☆(^^)

あやみ旬果(20) @ayami_syunnka
@ryo32design これからもよろしくお願いしますねぇ(*ꆤ.ꆤ*)♪★
2014年04月17日14:54

被害者がいる中で、有罪となった沢井に対して「おつとめご苦労様ですwww」などとは、不謹慎ではないだろうか。結局AV業界は逮捕されようが何だろうが何でもありのメチャクチャな業界なのだ。

日本AV男優協会の解散

日本AV男優協会を構想した森林原人。沢井は釈放後、ロック座女優に手を出した件でW松による私刑を受けたとされる。その連帯責任か、日本AV男優協会は10月8日に解散。森林原人の野望は挫折した。

2014年10月18日、突然日本AV男優協会は解散した。沢井の逮捕の段階で解散すべきではあるが、沢井逮捕から半年も経っての解散は、沢井逮捕以上の不祥事が発生したものとの憶測が飛び交ったのである。

日本AV男優協会@japanpornactors

日本AV男優協会は本日をもって解散致します。ここまでの皆様のご協力、ご支援に多大に感謝します。ありがとうございましたm(__)m2014/10/08 14:25:30

解散にあたり日本AV男優協会は「組織として未熟な点が多々ありました。自分達の至らなさが原因で関係各位に多大なご迷惑をかけました。大変申し訳なく思い、深く反省しています。」として謝罪。誰に対する謝罪なのか、そもそも徒党を組んで組合結成を企図したことに対する全AV業界人への謝罪なのか。真相は闇の中である。

Facebookでの謝罪。W松への謝罪だったのだろうか?

これには地獄耳のはずの業界人も寝耳に水の感があったようだ。

この件について、「AVメモ」にはコメントで、「沢井がロック座女優に手を出した件でW松(松本和彦・松嶋クロス)が介入し、沢井を暴力で制裁して男優協会は連帯責任で解散」とのタレコミが届いていたが、裏取りができず記事にはしなかった。しかし最近、大島薫が動画で本件について16:30ごろから語っており、内容の一部を支持するものであったので動画を貼っておく。

  • AV男優B(沢井?)が未成年淫行で逮捕された後に復帰。
  • 復帰後もストリップ劇場(浅草ロック座?)の踊り子に強引に手を出した
  • 劇場の裏にいた反社会的勢力(W松?)が介入し、制裁としてB(沢井?)は暴行を受ける。
  • 昔、AV男優たちで「男優協会」を作ろうとした過去があり、そこにはB(沢井?)も所属していた。
  • 反社会的勢力は男優協会にB(沢井?)を回収することを要求、男優協会幹部のA(森林)・C(田淵)・D(清水)を呼び出しB(沢井?)を回収させた。
  • 結果、C(田淵?)は怖くなって協会代表を辞任、男優協会は解散

こうしてみると、沢井の自業自得の感もあるが、一方で官憲の力が届かないAV業界内部の私刑の恐ろしさも痛感させられる。沢井亮はこのほかにもAV事務所・アルシェと結託した女性への騙し・AV強要の非道も報道されている。沢井はAV男優には復帰せずADをやりながら最近子をもうけるなどしているようだ。カタギに戻るのは無理なのだろう。

香西咲さんの告発

AV出演強要問題において、アットハニーズ所属・香西咲の告発は共鳴する多くの被害女性の声とともに巨大な渦となってAV業界を席捲した。

2011年MUTEKIデビューの香西咲。伊東遥や友田彩也香、冬月かえでなどで知られる有力AV事務所・アットハニーズ(株式会社・マークスインベストメント)所属女優として、香西はエスワンを経て2014年6月前半にアイポケに移籍した。

AV女優としてはド単体を貫いてきた香西であったが、華麗な経歴の裏ではさまざまな苦しみがあったのである。6月頭、香西は衝撃的なツイートをおこなった。

【RT拡散希望】6月7日のイベントについて

体調不良は事実ですが、私は開催予定でいました。
しかし所属事務所である株式会社Marks Investment の独断で中止となりました。

ファンの皆様、店舗様、メーカー様に多大なるご迷惑をおかけした事を心よりお詫び申し上げます。

私は枕営業されられたり、ロイヤリティが支払われなかったりしても、この三年間、誠心誠意、事務所に尽くしてきた。
事務所のイメージが悪くならないように悪口も外に漏らさなかった。
そんな誠意も汲み取ってもらえなかったなんて本当に悲しいね。

何で体調崩したかって、全ては事務所の枕営業強要のせいだよ。

株式会社マークスインベストが中国進出したいからって、T総研のY会長のお気に入りだった私をその人の所に無理やり連れていったの。
断ったら私の夢であるおもちゃ屋さんを他の女優さんでやらせるって言われて、私は逃げ場がなくなった。

そのおかげで

医師の診断書によると
慢性膵炎疑診例、慢性胃炎、逆流性食道炎…

もう一年間続いていて治る気配がありません。

私がどんなに誠心誠意尽くしても、事務所の対応が余りにも酷いので。

6月12日で契約更新しない旨を事務所に提出していて、
事務所も受領してサインもしたのに、
何故か次の撮影の話が勝手に進められていたので、
もう私の力で円満解決出来ないので弁護士の先生に入って頂いている最中でした。

事務所のイメージが悪くなったら、同じ事務所で頑張ってる他の女優さんが可哀想だと思って、
1年半の間自分の中だけに押し留めてきました。

イベントも中止になってしまったのでもうこれで株式会社マークスインベストでのお仕事はおしまい。
引きずる事無く、明日から新しい道へ進みます。

T総研のY会長とは大樹総研の矢島義也会長と思われる。政財界に強力なコネクションを持つ有力者であり、アットハニーズ・青木亮はその性接待を香西に行わせようとしたのだ。

性接待を強要された香西は体調を崩し、アットハニーズとの契約を打ち切ろうとするが、勝手に撮影の話が進められ、やむなく香西は弁護士をつけて交渉に乗り出したところ、イベントの中止となったのである。

この段階では香西はAV出演に関する、洗脳・出演強要の話はしていない。香西も我慢を重ねていたのであった。しかしその秘めた怒りはやがて大きな奔流となっていくのである。

佐藤るりこと鈴木涼美のAV女優バレ

慶応SFC時代にAV女優業に勤しんでいた鈴木涼美。SFCを1留後、東大院に進学して社会学を専攻し修士号を獲得、日本経済新聞社に就職した。記者でありながら修論をもとにした著書『「AV女優」の社会学』を上梓するが、AV女優であったことが報じられ、涼美は文筆家の道を歩み出す。

高校時代からブルセラに傾倒し、慶応SFC時代にはホストにハマり、AV女優をしていた鈴木涼美。VIP専属AV女優・佐藤るりとして2004年デビューで12本Vに出演したのち、企画女優としてメーカー巡業に励んだ。涼美はAV引退後、東大院で上野千鶴子ゼミにも出入りしながら社会学を専攻、涼美は就職に成功し日本経済新聞記者として活動していたのである。

しかしながら、涼美は記者に満足できなかったのか、またもカタギを踏み外し、2013年6月に修論をもとにした『「AV女優」の社会学』を上梓する。この本は、どう見てもAV女優が書いた本としか思えず、また、日経新聞社内でも涼美のAVの過去は公然の秘密となっていたようである。涼美は2014年8月に日経新聞を退職、退路を絶っていた。

その涼美が一躍有名となったのは10月1日の文春砲であった。「人気AV女優は日経新聞記者だった!」という短い記事である。

 単体で10作以上をリリースしていたAV女優が、先月まで日経新聞記者だったことが週刊文春の取材でわかった。この女優は、2004年にデビュー。巨乳を売りに、ロリコンものからSMものまで幅広いジャンルの作品で活躍していた。

 元記者は、本誌の取材に「AV出演していたのは事実です。日経新聞を辞めたのは、AVとは関係ない話です」と語った。

どちらかというと援護砲のようにも思えてしまうのだが、涼美はその後ホストや風俗に関する単著を連発していく。近年は小説も多数発表し、『ギフテッド』と『グレイスレス』で芥川賞候補に2度も選ばれている。さらに2024年には歌舞伎町SmappaのホストSHUNとも結婚、娘をもうけた。

AV女優でカタギとして成功した例は本当にまれだが、涼美はそのレアケースの代表格と言えるだろう。

終わりに

日本AV男優協会の騒動はAV業界人とカタギとの乖離が依然大きなものであることがTwitterで可視化されていく大きなモデルケースとなったと考えられる。「村の掟」によって制裁を続けるW松も、情報公開の大きな流れの前にはもはや統制は困難になっていた。

その中で、公然と性接待強要を告発した香西咲という勇気ある女性の登場によって、AV出演強要問題・AV被害について、突破口が開かれつつあったのである。

鈴木涼美はAV女優出身者として、これ以上ない成功をおさめたが、社会学・フェミニズムを東大・上野千鶴子に学んだにもかかわらず(学んだから?)、結局「セックスワークイズワーク」に回収され、踏み付けにされた女性への共感は欠落していたのであった。ではAV出身であることは単なる知名度利用だけの話でそこに性産業の当事者としての展開はないのか。そこが私の涼美に対する不満なのである。

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この記事を書いた人

ブログ「KMノート」管理人。
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