
マインズ・紗倉まなにスカパーアダルト放送大賞2015女優賞を奪われ、失意のうちに病に倒れた悲劇のヒロイン・有村千佳の引退で象徴づけられる2015年。三上悠亜がデビューする中、AV業界は増長を極めていた。
AV男優・しみけんこと清水は、5月の記事でインフルエンサー・はあちゅうとの交際を匂わせつつ、アリスJAPANの『◯秒で合体』シリーズのようなドッキリもので事前に一切女優に伝えないという事実を告白、強姦同然の台本すらない非道な性暴行がAV業界で蔓延していることが明らかとなった。
その非道の絶頂とでもいうべきVがある。9月4日にリリースされた『100人×中出し2015』では何も聞かされない企画女優たちが大量の男優たちに追い回され輪姦されるなどの人倫を無視したV撮影が横行、のちにAV擁護派として奮戦するAIKAですら号泣するほどの非道な撮影現場であった。
女優が非道なAV撮影被害に泣き寝入りせざるを得ないのは、「違約金」という悪しき制度があったからである。女優が逃げられないよう、撮影契約においては、法外な違約金条項を入れておくのだ。このような違約金によるAV出演強要に敢然と立ち向かったのが、ヒューマンライツナウ(HRM)の伊藤和子弁護士だ。ニューゲート・SOD訴訟においてAV出演強要被害女性に2460万円もの違約金が請求された件で伊藤弁護士は被害女性の代理人としてその不当さを主張、裁判所は違約金を無効とした。
これを契機にAV業界の非道な実態は社会問題として大炎上していく。レイズプロモーションによるAV被害を受けたマックスエー専属AV女優・瑠未くるみことくるみんアロマの告発もあった2015年を振り返る。
追記(2025/6/29):瑠未くるみことくるみんアロマについて追記しました。
マークスグループ悲劇のヒロイン・有村千佳

マークスグループ所属AV女優・有村千佳。2010年デビューの彼女は圧倒的ルックスでありながら人目を避けるように名もなき企画女優として活動していた。有村はコスプレAVなどの出演で徐々に支持を集め、名前がVに冠せられるいわゆるキカタン的なVの出演も増えていき人気は高まっていく。そしてついに2014年、ゲーム『龍が如くゼロ』の投票で有村はマインズ所属・紗倉まなを退け、堂々1位を獲得。AV女優の頂点に上り詰めたのだった。
2014年夏、有村はマークス女優のアイドルユニットKÜHN(キューン)のメンバーに選ばれ、KÜHNは2015年2月12日に情報解禁された。メインイメージでは有村がセンターにいることがわかる。KÜHNは2015年3月21日にデビューライブを行うと予告。期待が高まった。


スカパーアダルト放送大賞2015を直前に控えた2015年2月27日、有村は急性腎盂腎炎に倒れた。尿道から細菌が入ることで感染するというこの病気に、有村はAV撮影現場で感染したと考えられる。ブログでは緊急入院した有村の苦しみが綴られていた。
皆様こんにちは
そしてお久しぶりです
この画像の載せた次の日
入院してしまった有村ですw
この日の撮影はレズ現場で
南梨央奈ちゃんと一緒だったんですが
撮影終ってトイレに行ったら
ものすごい激痛と血尿が….
ついでに発熱と背中から
腰にかけて痛みが….
次の日病院に行き検査してもらったら
膀胱炎よりひどい
急性腎盂腎炎になっていました….

検査結果の数値が
異常だった為即入院

トイレのたんびに痛くてうめいてました
みなりおちゃん心配のツイート
ほんとにありがとう
お騒がせしてしまってごめんね
病を押して3月3日、有村は2015年3月3日、スカパーアダルト放送大賞2015に出席する。しかしながら誰もが有村の受賞を待ち望んでいた中、女優賞が紗倉まなに送られた。マークスは一旦マインズに恩義を売って有村を来年受賞させるつもりだったのかもしれないが、SOD長期専属として優遇されている紗倉に賞など不要ではないかと私は怒りを覚えたのであった。有村は殊勝にもブログで感謝を投稿。しかし心中は決して穏やかではなかっただろう。

3月18日のレッドドラゴンでの『龍が如くゼロ』イベントの翌日、上記腎盂腎炎で腰の痛みがおさまらず検査を受けた有村は医師に長期休暇を勧められる。これに伴い、3月21日のKÜHNのライブは欠席することになった。
しかしながら、有村はすでにAV業界に見切りをつけていたのである。4月2日の「大切なお知らせ」というブログ投稿で有村は引退を発表、5月2日の初美とのイベントをラストに業界を去ると宣言したのであった。

お久しぶりです。
今日は皆様にお知らせがあり
Blogを書かせて頂きました。
先日3月21日に行われたKUHNの
お披露目ライブを欠席しまして
KUHNのメンバーをはじめ
me-me*の皆さん
マシュマロ3Dの皆さん
スタッフ関係者の皆さん
そして応援に駆けつけてくれた
ファンの皆様….
改めて申し訳ありませんでした。
あの日ご挨拶させて頂いた時
皆様の前で活動休止を宣言しました。
ですが色々悩み考え
事務所とちゃんと話し合いをして
決めた結果…
有村千佳は5月2日の
ちかっぽイベントを最後に
引退する事を決めました。
年末からの体調不良により
思うように仕事ができず
知らず知らずのうちに
自分の中の仕事とプライベートの
比率がうまくとれない状況になってしまい
今の環境に心も体も付いていくことが
困難になってきました。
実は体調を崩し始めた年末から
引退についてはずっと考えてきました。
この決断をする時
たくさん悩み
たくさん考え
たくさん泣き
たくさんマネージャーさんと
話し合いをしてきました。
もちろんKUHNのメンバーにも…。
この引退によりKUHNのお披露目が
できないままユニットを脱退し
業界を去ってしまう事になり
本当にごめんなさい。
休業して戻ってくるという考えもあり
実際お休み期間も頂いていたのですが
体を休めれば休めるほど…
自分の周りを客観的に見れば見るほど…
引退と言う意思が次第に強くなりました。
一度辞めたらもうこの業界に
戻ってくるつもりはありません。
それと2、3年前から引退後に
やりたい事を漠然とですが考えており
それが最近ようやく明確なものに
なってきたというのも
この決断の理由の1つです。
AV女優としてやってきた
4年と8ヶ月は
私の人生にとって
たくさんの出会いや知識や経験
そして素晴らしい景色を
味あわせてくれました。
悔しい思いや辛い思いをして
何度も泣いたこともありましたが
それ以上に嬉しい事や
楽しい事もあってあっという間に
過ぎていった4年と8ヶ月でした。
貴重な体験が出来たこと
本当に嬉しく思います。
そして何よりいっぱいいる
女優さんの中で
この様に皆様にちゃんと
お別れを言える環境が作れて
よかったと思っています。
ちなみに引退作は撮っていません。
撮る予定もありません。
これも私なりの考えがあり
あえてそうゆう風にさせて頂きました。
どのメーカーさんにも
現場スタッフさんにも
編集の方にも良くしてもらいましたし…
私を使ってもらえたことに
本当に感謝しています。
事務所のマネージャーさん
メーカーさん
現場スタッフさん
編集してくれたスタッフさん
撮影会会場のスタッフさん
イベントの店舗さん
営業さん
今まで一緒に共演した
女優さん男優さん
そしてここまで有村千佳という女優を
応援し支えてくれたファンの皆様に
感謝の気持ちをこめて…
今までありがとうございました。
そしてこれからもKUHNと
マークスグループの女優さんを
応援して頂ければ嬉しいです。
残りわずかですが…
有村千佳として今まで通り
のびのびと過ごしていきますので
よろしくお願いします‼︎
残りのイベント…
少ないですがちかっちに愛に来てね。
安全衛生を無視した劣悪な環境でのAV撮影において、14年末から体調が悪化、腎臓に病を得て引退という悲劇のヒロイン・有村。労働災害であるのは明らかなのだが、AV村に健康被害への補償など昔も今もなく、なんなら当時のマークスは(大塚咲の『よわむし』にもあるように)バラシに対して有村へのペナルティで対応した可能性すらある。女優とダクションの信頼関係は脆い。せめてスカパーで女優賞を受賞した笑顔の彼女をみたかった、とファンは思ったことだろう。
有村はその後、2018年ごろに大槻ひびきのSNSなどで同窓会?に参加した様子が投稿されている。写真はスタンプで隠されているようだが、恐ろしいほどの美貌の有村はすぐに顔を差す。カタギに戻れたと信じたいものだ。
AV男優・しみけんこと清水のドッキリレイプ告白

AV男優・しみけんは雑学王と称してメディア露出を積極的に行っていたが、その実は食糞を公言する品性下劣な輩である。この清水が一時的にとは言えAV男優ナンバーワンの地位を得ていたのだから呆れるほかない。さてこの清水の2015年のインタビュー記事が大きな波紋を呼んだ。
記事ではヨッピー氏が清水の自宅を訪問し、一日密着取材を行っていた。ちなみに余談ながら、のちに事実婚するはあちゅうの名前も記事には登場。清水とはあちゅうはすでに交際していたと思われる。下記囲みに上記記事を一部私が編集したものを掲載する。
ジムが終わったら今度は2現場目。大体1日に2~3現場をこなすらしい。
スタジオ入りしてさっそく台本をチェックするしみけんさん。
清水「次の企画はドッキリですね。」
ヨッピー「ドッキリ? え? AVのドッキリってヤラセじゃないんですか?」
清水「いや、けっこうガチのやつもありますよ。「出会って4秒で合体」とかのシリーズもあれ、本当に女優さんには一切知らせずにやってますもん。」
(略)

ヨッピー「わぁ本当だ。女優さんに渡す台本と男優さんに渡す台本で内容が違うんですね。」
清水「でしょ。今回は撮影中にいきなりブレーカーを落としていきなり襲い掛かる、みたいなやつです。」
ヨッピー「僕、「こんなのどうせウソだろ」って全部色メガネで見てました…!」
清水「そうでもないんですよ。やっぱり現場の人たちは「良い作品を作りたい」って気持ちでストイックにやってるんで。」
アリスJAPAN『出会って4秒で合体』シリーズでは何も知らない&聞かされていない女優に男優が襲い掛かり性行為を行うという趣旨のビデオであり、多数のVがリリースされている。
流石に台本があって全ては演技だろうと思われていたのだが、そうではないことが明らかとなった。清水はあっけらかんとレイプを語るが、台本もなく襲い掛かってレイプするのは強制わいせつ罪である。「良い作品を作りたい」という言葉を都合よく使い、女性の性暴力を平然と行うAV村はなんなのだろうか。
誠意ある償いを行ってほしい…そう思っていたのだが、『シン・出会って4秒で合体』なる撮り下ろし作が2024年にリリースされていた。AV新法で詳細撮影内容の開示は義務となったが、アリスJAPANは本当に大丈夫なのだろうか?
こうした騙し討ちで女優に襲い掛かり性暴行を行い撮影する手口は昔から行われていた。有名な例として、たとえばイエイ高嶋はhmp・嵐山のVでのドッキリレイプの際の”事故”として、抵抗した女優が頭を打って気絶し救急車で運ばれたケースを語っている。
また、ピエール剣は「レイプものと知らせつつもその上をいく暴行を働くケースもある」と証言している。ピエールの発言を抜粋してみよう。
「女優さんはレイプものの撮影って知って来てますが、女優さんの想像よりもちょっと上回る感じ。なので撮影中は驚かせてしまう」
「スタッフが駅とかで待ち合わせして、その後の段取りを何も説明せず人気のないところまで連れて来るんです。僕らは車で近づいて、いきなり拉致っちゃうというような形でしたね。女優さんの自前の服とかもビリビリに破って」

車で拉致して性暴行とは恐ろしい。AV出演被害防止・救済法の制定で事前の詳細な撮影内容の開示が義務となっている。こうした”ドッキリレイプ”被害が抑制されているものと信じたい。
『100人×中出し2015』とAIKA

本中智子Pといえば、辣腕プロデューサーであるが、かなり強引かつエグいVの制作で知られる。とりわけ上原亜衣が出演した『100人×中出し』は伊藤和子先生に「人倫、人権の問題」と評されるほどのエグさで、100人の素人男たちに追い回されて捕まったら中出しされるという企画である。
この続編である、『100人×中出し2015』にはAIKA、神木さやか、紺野ひかる、上原亜衣、浜崎真緒、佳苗るか、宮崎あやが出演したが、いずれも現場に来るまで詳細を聞かされていなかったという。
その中でも最も強く拒否感をむき出しにしたのはAIKAである。AIKAはこの企画を嫌がり、ガチギレ・号泣、帰りたいと訴え、逃げ出そうとしたという。最近の動画でも、昔話といいつつ騙し・強要への告発をしている。
AIKAは翌年2016年のマークス壊滅の際に被害女性Fを最も激しく攻撃したが、その背景には自身が紛れもないAV強要・性被害を受けたという事実があったのだ。重大な伏線を残して2016年にAIKAは錯綜した主張を誰よりも大きな声で発信するのである。
ここまでの非道を行った智子Pであったが、AV村ではその過激さが称賛されていく。智子は順調に?出世し本中チーフ・ムーディーズチーフとしてWILLの最有力プロデューサへの階段を登っていった。こうした非道プロデューサーが排除されない限り、非道なAVは作られ続ける事だろう。
ニューゲート・SOD2460万円違約金訴訟とAV出演強要問題

驚くべきニュースが飛び込んできた。AVプロダクションがAV出演を拒否した女性を相手どり違約金2460万円を請求した訴訟で、東京地裁は2015年9月9日AVプロダクションの訴えを退けたのである。
女性は高校生の時にスカウトされ、「着エロ」に出演。当時から違約金をたてに着エロ強要されていたという。成人後、高額の違約金をもとに今度はAV出演を強要されていた。AVプロダクションは「あと9本のAV出演が決まっている」「拒否すれば違約金1000万円になる」などとAV出演を強要したという。女性がこれを拒否して逃げようとすると家まで押しかけられ、最終的には2460万円の違約金を請求されたのである。
今思えば、あまりにも非道な話である。基本的な話になるが、AVに出演したい女性などいない。それゆえにAV業界では、女性を出演強要する必要が生じる。そこで使われてきたのが、契約で違約金条項を入れる戦略である。この慣習はニューゲートのみならず他の会社でもまかり通ってきた。女性たちは泣き寝入りして出演を余儀なくされてきたのである。
しかし、この判決によって、性行為という性質上、意に沿わないAV出演契約は無効となるという判決が下されたのであった。この判決を通じて、世間では、法外な違約金を請求したAV事務所の挙動に愕然とし、AV出演強要問題が極めて深刻であることが共通認識となっていったのだ。

上記伊藤和子弁護士の記事を踏まえると、SODの300万円の総出演料のうち、女性には80万円が支払われ、220万円がニューゲート取り分ということになる。搾取がえげつないが、本来得られる利益だったとして、さらに220×9本分の請求をしたのがえげつない。
この事件については、実はいろいろと謎も残されている。被害女性とされるニューゲート所属・SOD専属香川ルリカ(2014/6/5デビュー)は、プライムエージェンシー所属・アリスJAPAN専属藍原佐理衣(2014/5/9デビュー)でもあった。前者はV削除に至っているが、後者は依然販売が続いているのだ。後者は2014/7/11の3本目をもって不可解なイベント中止を経てフェードアウトしている。
時系列的に、撮影日はアリスJAPANの方が後とされており、この問題には事務所移籍に関するトラブルも背景にはあるものと思われたが、アリスJAPAN、プライムエージェンシーは特段女性への違約金によるAV出演強要はしなかったものと推察する。
これに関連して、女性の手記もあるのでリンクを貼っておく。

さて、この訴訟について、AV業界人はどう捉えたのか。ライターアケミンは「あの弁護士も(略)過払い金の次はAVかよ」「単純に違約金と弁護士料がどれぐらい差があったのか…気になるよね(ゲスゲス」などと女性を踏みにじり、弁護士をこき下ろす発言をしていた。AV業界人にとっては違約金は払って当然だろという「常識」がまかり通っていたのである。

さて、AVプロダクション側の弁護士を務めた宮本智は2014年の中野区長選挙に共産推薦で立候補した経歴がある。宮本智弁護士について、日弁連綱紀委員会は懲戒相当としたものの、最終的には懲戒処分にならなかった。AV業者とつるんで法外な違約金を請求する弁護士たちは結局野放しのままなのであった。
こうして、伊藤和子弁護士らはAV出演強要の真因となる「違約金」自体の禁止を求めていくことになるのである。
瑠未くるみことくるみんアロマのAV出演強要

レイズプロモーション所属・マックスエー専属・瑠未くるみことくるみんアロマは2015年9月18日に「AV出演強要被害に遭っていた」とFacebookでカミングアウトした。
期間が随分開いてしまいましたがやっと気持ちの整理も着きましたので更新させていただきます…
このページを開いてしまった方へ…
瑠未くるみは事務所に騙されAVをやってしまい、自分の思い描く方向ではなかったので一生の不覚をしてしまったと…とても悩みました、頂くものも頂いておりませんがやめさせて頂きました。その後の売り上げなどの収益の事は全く私はもらえていない状態ですが、もう関わりたくないので……
一度ふさぎ込みましたが今はYouTubeというものに出逢いましてYouTubeを愛し、夢に向かってYouTuberとして活動させて頂いております、ボランティア活動も未だに続けております。とても苦難の生活ではありますが、そちらの方で一生懸命頑張っておりますのでそちらの方の応援を是非とも宜しくお願い致します。
レイズプロモーションは現在のフォーティーフォーマネジメントにつながる事務所で、その祖を辿ると麻美ゆまのいたミューズコミュニケーションと野田義治で知られるエヌアンドエスプロモーションにつながっている。一般事務所の血をひく事務所だけに、騙しは非常に有効であったのだ。
16年7月にはAV被害の具体的な経緯について、取材に応じていたので引用する。

若い女性がアダルトビデオ(AV)に無理に出演させられる経緯には、夢をかなえたい気持ちを巧みに利用される場合も少なくない。動画投稿サイト「ユーチューブ」を活動の主舞台とするユーチューバーのくるみんアロマさん(26)は、所属した事務所の「音楽デビューさせるよ」という言葉を信じた。雑誌でのヌード撮影からAV出演に至るまで、「だまされた」と過去を振り返った。(朝日新聞経済部記者・高野真吾、林美子)
(略)
事務所側に、AVに出たら音楽デビューできるのか、後押しをしてもらえるのかを何度も確認した。その度に「大丈夫だよ」「約束するよ」と言われた。次第に、「AVの仕事をやったら芸能界で成功できる」という事務所側の言葉を「1%でも信じてみよう」と考えるようになった。最後には出演を承諾した。
(AV)撮影には「切腹する気持ち」で臨んで「死ぬ気で耐えた」。監督、ディレクター、カメラマン、男優と、事務所の人間ら男性10人ほどに囲まれた。 慣れない性行為に「痛い痛い」と叫んだ。「無理です」と叫んで撮影が中断しても、撮影側は「できるまで終わらないよ。こんなに時間がかかるのは、あなたぐらいだよ」と冷淡だった。「ここにいる大人全員、子どももいるし生活もある。あなた1人でみんなの生活を台無しにするのか」とも言われた。
事前にAVメーカーとの面談があり、できない行為を伝える「NG項目」も提出していた。しかし、撮影当日はほとんど無視された。事務所の人間に過激な行為を強要された。「あなたができないと言うと、うちの他の女の子に仕事が来なくなる。迷惑がかかるから、ちゃんと対応して」 撮影終了後には下半身に強い痛みが残り、少量だが出血もあった。精神的に不安定になり、当日の様子を思い出す嫌な夢を何度も見た。 絶望的な気持ちに、事務所が怖い思いが重なり、恥ずかしさから誰にも相談できなかった。2本目にも出演するしかなかった。その撮影終了後、しばらくして事務所から電話がかかってきた。「『社長』がお金を持ち逃げした。他の女の子からもクレームがきている」 本当かどうか不明だったが、事務所とは徐々に連絡がつきにくくなった。
(略)事務所に対しては、今でも「音楽への夢につけ込まれた」と強い憤りを感じる。事務所の「社長」は朝日新聞の取材に対し、イメージDVDの作製に関わったことは認めたものの、AV出演には「私は関与していない。別の人たちがやったことだ」と述べた。くるみんさんは現在、AV被害の支援団体に相談し、被害の拡大を防ぐ方策を取り始めている。
くるみんアロマは騙し・AV撮影時の健康被害だけでなく未払いにも苦しんだ。事務所は誠意ある償いをしてほしいと思うが、特段の対応はないようだ。こうしたAV業界への不満から、くるみんアロマはHRN・ぱっぷすと共闘し、2022年のAV出演被害防止・救済法成立に大きく貢献していくことになる。
終わりに
非道を重ねるAV業界の前に、病に倒れた悲劇のヒロイン・有村千佳や非道な騙し撃ちにあったAIKA。女優の人権を踏みにじり、ドッキリレイプと称して何も知らない女性に襲い掛かる清水の浅ましい姿が世に広まっていく。
そんな2015年において、SOD・ニューゲート2460万円違約金訴訟は世間に大きな衝撃を与え、非道なAV業界に対する批判が集まっていった。勝訴した女性の代理人として伊藤和子弁護士やぱっぷすの名は世に轟き、AV出演強要の被害女性が続々と声を上げていく。その一人が瑠未くるみであった。こうしてついにAV業界の牙城が崩れようとしていたのであった。
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